2022068改
<仕事が「出来る」人と「出来ない」人の違い>
ここでいう仕事が「出来る」「出来ない」は、上司や同僚や部下や仲間や相手や顧客から見て、その期待感に応えてくれる程度や仕事の結果や成果に対する満足感が「期待以上」なのか「期待未満」なのかということです。
どんな仕事でも、仕事が「出来る」人と「出来ない」人との間には、いくつかの点での違いがあるように思います。そのことは自分が仕事をする立場でなく、人の仕事を通じて財やサービスの提供を受ける立場で考えるとよくわかります。
それは仕事をする人の能力や適性だけでなく、その人のその仕事に対する思い、その仕事をする態度やその人の仕事をする上での習慣、物理的なまたは経済的な結果や成果だけでなく、仕事を通じて実現された価値だと思うのです。
せっかくの「働き方の改革」も「働くこと(仕事)」そのものの主体性や質や価値を高めるのでなければよりむしろ「働き方の退化」に陥ります。この機にもういちど自分自身の「働き方(仕事のしかた)」を見直すべきでしょう。
□01 正確・迅速・丁寧を習慣化している。
どのような仕事であっても、仕事の基本は「正確・迅速・丁寧」です。
① 仕事の正確さを担保する習慣を身に付けている。
たとえば逐一チェック、照合チェック、合計チェック、交換チェック、読み合わせチェック、翌朝チェック、常識チェック…等々、正確な仕事ができる人は自分がミスをおかしやすいケースを自己認識して自己チェックをかけています。
人間の仕事には「ケアレスミス」は付き物です。しかし、「次から気を付けます」では「正確な仕事」は成り立たない。重要なことは「その瞬間に自分のミスに気付いて直ぐに改める仕組や方法や習慣」を持っているかどうかです。
② 仕事の迅速さを担保する習慣を身に付けている。
仕事の早い人はほとんどいつも早く、仕事の遅い人はほとんどいつも遅い。仕事の早い人は段取り・取掛り・依頼が早く、遅い人は遅い。仕事の早い遅いはスピードの問題ではなくタイミングの問題、仕事の能力でなく習慣の問題です。
「忙しい」ことを仕事をしない・出来ない言い訳にする人が多いのですが、誰でも1日24時間、1年365日しかなく、あとはその「使いよう」です。「忙しい」と言うのは相手に「そんな仕事は優先順位が低い」と言うのと同じです。
③ 相手の目線で丁寧・親切なひと手間、ひと工夫ができる。
全ての仕事には「相手」があり、相手のニーズ・事情・都合があります。それを無視して自分の都合だけで「仕事」をしてはならず、また、仕事をリリースする最後の瞬間まで手を惜しまず、相手の視点でもうひと工夫することです。
どんな仕事にも「相手」がいます。それらの人たちが何をどんな状況でどう考え、どう感じているか、何を求めているかが「見えて(気付き・感じて・考えて)(配慮し・想像して)」いるかどうかです。
<追記事項_実は「最も基本に忠実」である。>
① 高度なプロフェッショナルほど「最も基本に忠実である」です。例えばプロのゴルフプレーヤーは、基本的な動作を、最も基本に忠実に、アマチュアの何十倍も繰り返してトレーニングするのだろうと思います。
② 言い換えれば「最も標準に忠実である(最も標準的な仕方で仕事をする)」と言えると思います。基本や標準をしっかりと身に付けた上でこそ、自由と応用が利くのだろうと思います。
□02 その仕事に自分自身を動機付けている。
① その仕事を「好き」でやっているのと「嫌々」やっているのとでは、根本的な動機付け要因が違います。「好き」でもなく「愛着」もない仕事や企業に興味も責任も持たず、「労務に服して賃金を得る」ことはやめましょう。
② 上記と同趣旨ですが「働く」ことそにものに自分自身が内心から動機付けられているか、それとも「賃金」や「生活」のために、または「上司」や「組織」によって自分自身の外側から動機付けられているか、ということです。
③ 一見毎日同じことの繰り返しに見えるような仕事でも、より「正確・迅速・丁寧」に、またより「品質・コスト・納期」を上げようと最後まで手間を惜しまず、謙虚に学習するのとしないのとでは仕事の出来が大きく違います。
④ 仕事や仕事をする条件や環境への不満、人間関係への不満など、仕事をする上での不満は数多いでしょうが、仕事ができる人たちは、それをそのまま仕事への意欲の低さや出来の悪さの言い訳にせず、自分(たち)で何とかしています。
⑤ 「分からなければ自分で調べなさい」「できない言い訳よりできる工夫や努力をしなさい」「指示を待つのでなく自分から提案しなさい」というのは新人への期待レベルであるはずです。仕事ができる人たちは皆そうしています。
⑥ 自分の時間を自分でコントロールできているか。また自分の仕事のしかたを自分自身でコントロールできているか。自分が自分を通じて仕事をコントロールしているか、他者が自分を通じて仕事をコントロールしているかです。
⑦ 仕事にはそれを通じて達成しようとする目的やそれを通じて実現しようとする価値があり、仲間と協働してそれらを達成・実現することに喜びがあるはずです。仕事ができる人はそうした目的や価値の達成や実現を日々意識しています。
⑧ 仕事で実現できる価値は、必ずしも定量的価値でも経済的価値でもなく、もっと人間的で社会的な諸価値(例えば「平和」や「自由」や「公平」)でありそれらを実現するために働いている人たちが現にいます。
⑨ 仕事ぶりが認めら、その仕事を一任され、「ああしよう」「こうしよう」という主導権や決定権を持つようになればますます主体的に取り組むことができます。仕事は誰かに「決めてもらう」ものではなく「自分で決める」ものです。
⑩「仕事」は単なる「作業」ではなく、何らかの人間的・社会的な目的を達成したり価値を実現する(=各自が責任を持って(最終的には組織としての)「結果」を出す)ための人間的・社会的な協働であるはずです。
⑪ 仕事ができる人は仕事をすればするほど成長する人です。「仕事」を通じて得られるのは何らかの人間的・社会的な目的の達成や価値の実現であると同時に、仕事をする人たちの人間的・社会的な実現成長です。
□03 コミュニケーション良く、チームプレイが上手い。
① 仕事が上手く行く・行かないはコミュニケーション次第です。仕事には必ず「相手」があるのだから、その「相手」とのコミュニケーションの良し悪しは仕事の出来に大きく影響します。「報告・連絡・相談」は仕事の基本です。
② 仕事ができる人に多い特徴のひとつは「クイックレスポンス」です。「できる・できない」の判断も回答も早いのです。仕事の見通しも手配も早い。分からないことや困ったことがあっても「ノーレスポンス」にしない人が多い…。
③ 組織協働的に仕事をするということは、サッカーのゲームと同じように、チームメイトにとって最適の(inputとなるように)パスを出す(outputする)こと、そのパスをつないでゴール(outcome)に結び付けることです。
④ 仕事ができる人は、「こうしたい(ありたい)」という目標を掲げ、それに向けて日々P(Plan) - D(Do) - C(Check) - A(Action)しています。また、Q(Quality:品質)C(Cost : コスト) D(Delivery:納期)を組織的にでコントロールしています。
□04 できない言い訳でなく、できるための努力・工夫をしている。
① 「言い訳をしない」「人のせいにしない」「相手のことを考える」等々はいずれも親が子に諭すようなことですが、一人前の社会人の、基本的な仕事の進め方についても、実に同じ教訓が通用します。
② 仕事ができない言い訳を、自分の能力や努力や工夫以外のせいにして言い逃れしようとする人たちが実在します。仕事上の成果や解決は、現実のさまざまの制約や障害を何とかして切り抜けること以外には得られないのです。
③ 特にたちの悪いのは「人のせいにする」ことで、企業組織の中にも、「仕事の成果が出ない」のを、他部署のせいにする、上司のせいにする、ひどい例では、会議の場で公然と部下のせいにするような上司もいます。
④「仕事」は「人と組織を通じて」こそ成果や解決が得られるのですが、「人と組織」も、自らの努力や工夫や苦労を惜しんで仕事が出来ないことを人のせいにするような人には理解も支持も協力も与えません。
□05 仕事が「デザイン(設計)」されている。
ハードウエアでもソフトウエアでも、設計もなしにいきなり製造ができるわけではありません。なのになぜか「人間系」というか「対人系」の仕事においては、設計もなくいきなり製造にかかるような仕事の仕方をする人が多いように思います。
例えば(筆者は企業の人事マネジメントの支援を「業」としているのでよく思うのですが)、「就業規則」をつくるときに、意義も目的も構想も構成もなしに、いきなり「第一条」を書き始めるようなつくり方をする人が少なくありません。
□06 仕事にPDCAが回っている。
仕事を通じて何を実現・達成すべき価値・目的・目標とし、そのためにどう計画・実行・評価・改善するか…という、いわゆるPDCAサイクルを回すことが、仕事をする、および仕事をマネジメントする、ということであるはずです。
そのサイクルは、1日・1週・1月単位…に、状況をよく見極めてこまめに回すことが仕事を進める基本だと思います。ただ漫然と「労務(指揮命令)に服して賃金を得る」式に「仕事をして(働いて)」いるように見える人が少なくありません。