大日本帝国海軍の山本五十六の名言には大いに共感しつつもここは一旦傍らにおいて、以下、筆者自身の経験に沿って言えば、ですが…
1.「育てること」よりも「育つこと」への信頼と支援を…
社会人・職業人としての、ひとりのかけがえのない人格へのリスペクトを土台や基盤とする限り、家庭や学校で言う「教育」という意味では、それは企業人事ではもはや成り立ちようがない、とさえ筆者は思います。
企業では、家庭や学校で言う「教育」を修了した人や、その後の自己成長力のある人を採用しているはずですから、人事が行うべきことは、せめてそうした「自己成長力」に期待し、支援することでしょう。
先ずはそうした時間や場面や環境を整えること。「仕事が人を育て、人が仕事を育てる」ことや、「組織が人を育て、人が組織を育てる」という好循環を、幻想としてではなく実現することでしょう。
2.「もう良い」と思う時間の3倍、期待して待つ…
以下は「ビジネスパーソンの成長促進」に関する筆者の経験則(7則)です。
① 先ずは本人の自己認識を求める。
「どうしたい」「どうありたい」と本人自ら希求する「状態」との比較において、今現在の本人が自覚自認する「状態」は、その「ギャップ(差分)」は…?
② 成長は、本人の内から引き出す。
単に情報や知識を付与する場合でさえ、本人がそれを欲するところ、受け入れるところを前提としないかぎり、時間や機会の無駄にさえなる。
③ もう良いと思う三倍待ってみる。
「育てることは待つことだ」と筆者は思います。ただし、「期待して(信じて)」待つこと。時間や機会や環境や情報や知識を整えて待つこと。
④ 自己尊厳は成長の壁になりうる。
「自分はまだまだこんなもんじゃない」というプライドは成長を促進し「自分はもうだめだ」や「自分はもうこれで良い」は成長を停止または阻害する。
⑤ 人ではなく、仕事が人を育てる。
「人」は「育てる」のではなく、「仕事を通じて育つ」のだと思います。子が親のしつけで育ち、生徒が教師の指導で育つのとは違うと思います。
⑥ 試行錯誤と四苦八苦で人が育つ。
「苦悩の闇をくぐり抜けてこそ成長の曙がある」と思います。「一般的抽象的あるべき論」ではなく、現実との格闘(試行錯誤と四苦八苦)で育つのです。
⑦ 思考や言動が変容し習慣化する。
知識や技術でさえ、それを知るだけでなく、現実にそれを現場で応用・適用して課題や問題を解決できるように、その人が「変容」することが成長です。