1.仕事の好き嫌い
食べ物に「好き嫌い」があっても良いのと同じように、仕事に「好き嫌い」があって良い、と筆者は思います。なぜ好きなのか、なぜ嫌いなのか、そこからリスタートすることが大事だと思うのです。
<追記事項_20211022>
仕事の「好き嫌い」や、「快・不快」という「感じ」は、もっと素直に、遠慮なく、言いあったり共感し合ったりしても良いと思います。なぜそう思い・感じるのか…そこにはとても人間的な理由や原因があると思います。
本稿は、「仕事への動機付け」の問題(考察)のひとつです…「好き」にも「嫌い」にも理由があるはずなので、「好き」の理由を活かせばますます「好き」になるし、「嫌い」の理由をつきつめればそこに超えられる壁が見える…
<追記事項_20210816>
「嫌い」な仕事には、何か(合理的なまたは不合理な)その理由があるはずです。ただ単に「嫌い」で終わらせずに、なぜ「嫌い」なのかを自分自身に問い直してみると良い…それを「超えるべき」かどうかはその後で判断すべきです。
仕事がなぜ「嫌い」なのか?
・ 仕事を自分で選べないから…?
・ 時間を自分で選べないから…?
・ 場所を自分で選べないから…?
・ 内容を自分で選べないから…?
・ 方法を自分で選べないから…?
・ 相手を自分で選べないから…?
・ 対価を自分で選べないから…?
結論的に言えば、「労務(他者による指揮命令)に服して、その対価としての賃金を得る」という「仕事」に留まるかぎり、仕事そのものやその時間も場所も内容も方法も相手も対価も自己選択・自己決定・自己管理できません。
「仕事」上の成長段階を経る中で「仕事」に対する自分自身の自己選択・決定・管理の幅を拡げることは出来ます。「仕事」に対する知識・能力や自律性を高め、他者による指揮命令から脱し、「嫌い」から脱出することも可能です。
上記以外の要素として、「自分で選べる」要素がある。おそらくそれのひとつは「仕事」に対する知識・能力および態度です。「仕事」に対して自律性を獲得しようという態度だろうと思います。どんな「仕事」でも、実は同じです。
究極的には、その「仕事」が、十分に自分自身の知識・能力と自律性のもとに置かない限り、そうしてその「仕事」を、十分に自分自身の選択と決定と管理のもとに置かない限り、「嫌い」から十分に脱することはできないでしょう。
<以下原文>
1)仕事を単純に区分すると…
好きな仕事 (どちらでもない) 嫌いな仕事
得意な仕事 (どちらでもない) 苦手な仕事
したい仕事 (どちらでもない) したくない仕事
しなければならない仕事① A D G
しなければならない仕事② B E H
しなくてもいい仕事 C F I
してはならない仕事 N N N
しなければならない仕事にも二区分あるでしょうが…
実は上記の「しなければならない仕事」の意味にも二区分あって…
① その仕事の目的や意義や必要が誰の眼にも明らかであるという意味
②その仕事をすることが他者から強制され、義務付けられているという意味
「好き」でも「嫌い」でもない仕事もあるでしょうが…
好きでも嫌いでもなく、「どちらでもない」仕事もあるでしょうし、「好き」か「嫌い」かではなく、「得意」か「苦手」か、「したい」か「したくない」かという区分があるでしょう…
2)「嫌い」な仕事を嫌々無理にしなくて(させなくて)良い…
嫌い・苦手・したくないのは何の問題か…に応じて、つまり、それが能力の問題なら…できるように訓練すれば良いが、それが資質の問題なら、または、それが指向の問題なら…無理にしなくて(させなくて)良い…と筆者は思います。
しなくても良い仕事ならなおさらで、企業の合理性から言えば「しなくても良い仕事はしてはならない」とさえ、筆者は思います。「してはならない仕事」は、組織の目的や価値(および人間的・社会的正当性)の観点からの判断です。
人と組織の動機付けを維持向上する観点から、今現にしている仕事がその個人と組織と社会にとって、冒頭に掲げた図表のAからI、またはNのいずれに該当するかを、折に触れて振り返ってみる必要があると思います。
<別稿_楽な仕事と高い給与>
1)どこかの求人広告のキャッチフレーズのような…
どこかの就職情報誌のCMのフレーズですが、考えてみると、アンケートを採ってみると、働く人たちの、おそらく4割から6割以上は「楽な仕事と高い給与(楽して稼げるいい仕事)」に動機付けられているのかも知れません。
さて、医療業界では…さすがにその割合が低く、専門有資格者としてある程度給与水準が保障されたうえで人間的社会的な目的観や使命感や役割観や達成感や成長感…が、その動機付けの「炉心」になっているように感じます。
2)「それでも良い」としても「そのままで良い」のか?
「それで、良いのか?」と問われれば、筆者は、「そうであっても、良い。」と確答します。もちろん「必ずしも、そうであってはならない、というわけではない。」という意味ですが…。
「楽な仕事」…良いじゃないですか。そこに「効率的な仕事」とか、「楽しい仕事」という意味が含めれているならもっと良いし、「高い給与」も「必要十分な・心配のない賃金」という意味ならとても良いと思います。
3)6割はそれでも良いが、4割はそれではいけない。
…人事労務マネジメントの課題は、ある意味(4割から6割)において「楽な仕事と高い賃金」を実現するための営みであり、別の意味(6割から4割)において「やりがいのある、価値の高い仕事」を希求するものなのでしょう…。
2.人の好き嫌い
<続く>