20230128 記
人事を長くやっていると「人は変わるか?」という疑問にぶつかります。私は「人は変わる」と思います。但し、持って生まれた気質や性格は変わりにくいし、幼児期に形成されたパーソナリティーの原型は変わりにくい。
「考えることは悩むこと、書くことは苦しむことだ」「あれにもこれにも死ぬほど苦しんで来た、と言えることが唯一の誇りだ」というのはいかにも太宰治氏らしい言い方ですが、筆者は大いに共感を覚えます。
筆者自身、「成長」は、「忍従の夜と諦めの朝」(これも太宰氏の言葉)を何度も重ねた「後」にしか感じませんでしたし、学習も成長しない部下に対して「もう少し悩み、苦しむほうが良いのではないか?」と何度も思いました。
文学的な表現を別にしても、「産みの苦しみ」は多くの母親たちにとってリアルな実感であるはずで、それと同様に「成長の苦しみ」も多くの子供たちにとってリアルな実感だと思います。
さらに同様に「組織の生成と成長」においても、人と人との間で、実にさまざまな不調や軋轢や対立さえあるのはいわば「当然」であり、そうした「忍従の夜」を何度も通り抜けてはじめて「明るい朝」が来るのだろうと思います。
<どんな人とでも三年寄り添えば…>
1.個人事業でもないかぎり、一般的には上司は部下を自由に選べないし、部下は上司を自由に選べない。採用選考に意を尽くしたつもりでも、配属後に問題職員であることが分かったり、問題職員になる場合も多い…。
2.上司として一旦部下を預かった以上、気に入らない・気が合わないからと言ってサヨナラするわけにもいかず、雇用責任・育成責任を果たす上では、ある程度期間を
かけて「そこを何とかする」のが人事労務マネジメントだと思う。
3.筆者の実務経験から言えば、「どんな人とでも三年覚悟してきちんと向き合えば一緒に働く仲間の一人として迎え入れることができる」と思います。たとえパーソナリティー障害や発達障害を抱えた人、鬱で悩み苦しむ人とでも。