1.正確さと迅速さの基本の上に成り立つ丁寧さ
繰り返しますが、仕事の基本は「正確・迅速・丁寧」です。すなわち、「正確」さは仕事の生命であり、「迅速」さは仕事の強さであり、そして、「丁寧」さとは、仕事の「正確」さと「迅速」さの上に成り立つ仕事の付加価値です。
また、仕事の「丁寧」さとは、相手の立場や視点に立って相手にとっての便利さや使い易さ、見やすさや分かり易さへの努力や工夫や配慮を惜しまないこと(総じて相手への「親切さKindness」)を言います。
「正確さと迅速さ」は物理的または技術的な要件ですが、「丁寧さや親切さ」は、もっと人間的な、または適応的な要件です。つまり、仕事の成果を、そこ(人間関係)に投げ込んでみて初めて生じる仕事の意義や価値のことです。
2.仕事を「作業」化せず、常に「相手」の視点で仕事をすること
法的にいえば「労務に服して賃金を得る」「指示命令に従って仕事をする」ことが「仕事をする」ということのなのかも知れませんが「賃金を得られさえすれば良い仕事」や「やれと言われてしただけの仕事」では付加価値は生じません。
ときどき「相手」への視点や、仕事への「目的意識」(誰のための、何のための仕事かという視点)を欠く仕事ぶりの人を見かけますが、そうした「作業」のような仕事は、相手にとっても自分にとっても殆ど付加価値を生まない…。
ここに言う仕事の「相手」とは、上司や同僚や顧客を含む、ひろく社会的に関わる多くの人々です。仕事の「価値」とは、単に物理的・経済的な効用だけではなく、例えば「安心」や「喜び」など、もっと人間的・社会的な付加価値です。
「仕事は作業ではない」と筆者は断言します。狭く「作業」的に仕事をするのではなく、広く「相手」の視点で仕事をすることを通じて、仕事を通じた人間的・社会的関係の形成や、人間的・社会的価値の創造が初めてできるのです。
3.自分にとっての付加価値
相手の視点で「より良い仕事」をしようと配慮や努力や工夫を重ねることは、相手にとって付加価値をもたらすのと同時に、自分にとってもより高い評価や報酬や地位だけでなく、成長というかけがえのない価値をもたらすでしょう。
それは、仕事をすることを通じたOn the Jobの成長ですが、単に何らかのノウハウやスキルが身に付くということだけではなく、いくつかの段階を経る職業人としての成長であり、社会人としての成長です。